from their album Cendre (2007)
https://fenneszreleases.bandcamp.com/album/cendre
I transcribed this piece by using Stem Splitter in Logic Pro and AI-MIDI. https://ai-midi.com/
教授の数ある即興ピアノの中でも最高傑作のひとつかと。一聴すると素朴なFフリジアン(ペンタ風味)を行ったり来たりしているだけのようですが然にあらず。単純な音型の豊富なバリエーションや内声の抜き差しによって、徹頭徹尾ダイアトニックだけの真っ白い響きでありながら、耳を飽きさせません。
以下はアラフォーおじさんによる長い長い思い出語りです。
Fenneszの存在を知ったのは2003年頃、高2の時でした。当時、Cookie Sceneという雑誌があり、Pointリリース時のCorneliusが表紙の号を、ブックオフの古雑誌コーナーで見つけ購入。ページを繰るとFenneszのインタビュー記事があり、Endless Summerについて語っており、なにやらYMOにも影響を受けたという発言にビビっときました。たしか付属のコンピCD収録のShisheidoを聴いて、その複雑なテクスチャーに魅了されて好きになった気がします。2000年代初期はNapster/WinMX全盛の時代でしたが、Fenneszのようなインディー系はなかなかヒットしなかった記憶。しばらくしてから、初期のダサいジャケのEndless SummerのCDをバイト代で買い、Before I Leaveの未だかつて聴いたことのないような即物的詩情に衝撃を受けました。部室に持ち込んだスピーカーでこれみよがしに鳴らして「俺のマニアックな音楽の趣味ドヤッ ( ー`дー´)」と友人にアピールする高二病のあの夏。青すぎる。軽音の友達から「ギターにエフェクトかかりまくってるね」という反応だけがありましたが、当時自分は一切楽器が弾けず、まだ機材にも無知だったので、FenneszがエレキとLINE6 PodやMax/MSPだけで全曲を制作しているとまでは知りませんでした。あの頃はRadiohead経由でSigur Ros、ACO経由でMúmを聴いたりしていたものの、まだMegoなどの実験音楽系にまでは手が届いていなかったので、坂本龍一のマイナー作以外で初めて「見つけた!」という感じがしたアーティストがFenneszでした。佐々木敦によるCDのライナーノーツにもひどく感化され、グリッチ音についてポエムな拙文をしたため友人のteacup BBSに投稿する始末。翌年、教授の口からフェネスの名が出たときの「よっしゃ!やったぜ!」感は忘れられません。これは同時期にRadio SakamotoでRadioheadのThere, Thereが流された時と同じく、自分が個別に好きになったミュージシャンたちが互いに認知しあい好意を交換したときに生ずる、ほくほくしたファン心理でした。2004年に2人がラップトップで共演しSala Santa Ceciliaをリリース、そしてCendreをリリースした頃にはすっかり盟友のひとりとなった気がします。当時alva notoとFenneszと並行してコラボしつづけていた教授いわく「2人は全然違うタイプ。Carlstenはモダニストで、Christianはロマンティスト」という旨のことを述べていたのが印象的です。その象徴として「ChristianのアイドルはNeil Youngなんだよね」と言って、たしかAfter The Gold Rushを流したような。自分はThom YorkeによるカバーをきっかけにNeil Youngを聴いていたので「またしてもつながったな…」感がありました。Cendreのラストを「ロックのイディオムで作った」という発言から、このコラボは「長い19世紀」的なロマン主義パラダイムの延長線上にある電子音楽なのだ、とも解釈できます。この点は、鉄のカーテンの向こうでラジオから流れるテスト信号に萌えていた若きカールステンが長じて発明したすこぶるクセナキス的な近代的音響アプローチとは美しい好対照をなしている気がします。ただしカールステンがおすすめする教授関連の作品がP.I.L.のAlbumだったするので、彼ももちろんロック的感性を持ち合わせています。そこは池田亮司がRage Against The MachineをDJでノリノリで回すように、現代人にとっては近代成分と前近代成分は相補的です。個人的に数多あるskmt ambient worksの中ではChritopher WillitsとのOcean Fireが一番好きなんですが、Toward Waterから響きわたる武満的な「音の河」のイメージは、最もゲンダイ的に感じられます。
fennesz+sakamoto2人はその後もFluminaでバッハの平均律/ショパンの前奏曲集的な調性の探究をしたり、RopaやらLoveやら小佳作をものしたり、GGGでグールドを歪ませてみたり、協働しつづけましたが、結局Andataが晩年の代表作になり得たのは、間違いなくFenneszのディストーションギターのヘリコプター的な渦音響のおかげもあってのことと思います。今回、haruのステムを分けてfenneszのバックトラック部分だけ聴いていたら、ピアノのフレーズと重なる音型が聴こえてきました。haruでは確か先に作られたドローンを教授が聴きながら即興で弾いたはずなので、このモチーフに触発されて発展させた可能性はあります。「Fenneszと即興でライブしてると、こっちが出した音のピッチにピタッと合わせたギターを鳴らしてくるんだよね。電子音楽系では珍しい、昔ながらのバンド出身ミュージシャンが持つ能力だ」みたいなことを教授は話していましたが、このharuの採譜は、そのふたりの残した「耳の会話」を解読するような作業でもありました。8割方の作業はAI-MIDIが自動でやってくれてるので私は主にmidi noteのdurationをポチポチ調整し、出音と音源を比較してボイシングの内声を足し引きしただけではありますが、まあ楽しいことには変わりありません。ここ最近、AI assisted transcriptionのおかげでこれまで採譜したかった曲をどんどんこなせており、機械学習マンセーになりつつあります…
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